病院管理栄養士の職場のつらさ|直営給食・人間関係・給料について思うこと

私は、比較的規模の大きい病院で働く管理栄養士です。

病院管理栄養士の仕事には、栄養指導、病棟の栄養管理、NST、給食管理など、さまざまな業務があります。

患者さんの治療に栄養面から関われることにやりがいを感じる一方で、病院という組織で長く働く難しさも感じるようになりました。

特につらいと感じるのは、直営給食ならではの厨房業務、異動の少ない職場の人間関係、そして給料です。

病院によって環境は大きく異なりますが、今回は、私が実際に働くなかで感じた「病院管理栄養士の職場のリアル」を書いてみます。

目次

私が次に転職するなら直営給食を避けたい理由

給食業務には、病院が直接運営する「直営」と、給食会社に業務を任せる「委託」があります。

私は、次に転職する機会があるなら、できれば直営給食の病院は避けたいと思っています。

理由は、管理栄養士も厨房業務に入る可能性があるからです。

もちろん、厨房業務を経験することには意味があります。

食事がどのような工程で作られ、どのように患者さんへ提供されるのかを知ることは、病院管理栄養士として大切です。大量調理、衛生管理、食数管理、食事変更への対応など、現場に入らなければわからないこともあります。

20代のうちに幅広く経験したい方や、給食管理も含めて病院栄養士の仕事を身につけたい方には、直営病院が合う場合もあると思います。

私自身も、厨房を経験したことがまったく無駄だったとは思っていません。

ただ、これを長く続けたいかと聞かれると、今は難しいと感じます。

早番・遅番をしながら子育てできるのか

直営給食の病院では、管理栄養士も早番や遅番に入ることがあります。

病院給食は朝食から夕食まで提供するため、勤務時間が一般的な事務職とは異なります。土日や祝日、年末年始も食事の提供は続きます。

若いうちは対応できても、結婚や出産後も同じ働き方を続けられるかは考えておく必要があります。

早朝から勤務する日は、保育園の開園時間より先に家を出なければならないかもしれません。遅番の日は、お迎えの時間に間に合わない可能性があります。

パートナーや家族の協力、勤務先の配慮があれば続けられる方もいると思います。しかし、誰もが十分な支援を受けられるわけではありません。

子どもの発熱などで急に休む可能性もあるなか、最低限の人数で厨房を回している職場では、休むことへの心理的な負担も大きくなります。

また、子どもがいなくても、年齢とともに早番や遅番、立ち仕事を続けることが体力的につらくなる場合があります。

私自身、以前はできていたとしても、これから先も同じ働き方をしたいとは思えなくなりました。

仕事内容だけではなく、将来の生活と勤務時間が両立できるかという視点も、職場選びでは大切です。

厨房管理は調理業務だけが大変なのではない

厨房業務のつらさは、早番や遅番、体力面だけではありません。

厨房には、管理栄養士、栄養士、調理師、調理補助など、立場や雇用形態の異なる職員が働いています。限られた時間のなかで、間違いなく食事を提供しなければならないため、緊張感のある職場です。

また、厨房は外部の人の目が入りにくく、閉鎖的な環境になりやすいと感じます。

一つの部署で同じメンバーが長く働いていると、「昔からこうしているから」という独自のルールが定着することがあります。

正式な手順より、特定の職員のやり方が優先される。人によって言うことが違う。新人が疑問を伝えても受け入れてもらえない。

このような話は、自分の職場に限らず耳にします。

もちろん、すべての厨房がそうではありません。協力的で働きやすい厨房もありますし、尊敬できる調理師や調理員もたくさんいます。

問題なのは、特定の職種や個人ではなく、外部の目が届きにくく、人やルールが固定されやすい職場環境です。

厨房を直接管理する管理栄養士は板挟みになりやすい

厨房を担当する管理栄養士は、現場で起きたトラブルに直接対応します。

食事の間違い、調理工程の問題、職員同士の行き違い、勤務調整など、食事そのもの以外の問題にも関わらなければなりません。

病院側の方針を厨房へ伝える一方で、厨房職員からの不満や要望も受け止めます。

管理する立場ではあっても、十分な権限があるとは限りません。それでも、問題が起きれば対応を求められます。

この板挟みが続くと、精神的に消耗します。

事務所を中心に勤務している管理栄養士であれば、厨房のトラブルを報告として聞き、必要な部分だけ対応することもできます。

しかし、厨房を直接担当している管理栄養士は、人間関係を含めた問題のなかに入り続けることになります。

給食管理に向いている方もいますが、私は臨床業務の方が自分に合っていると感じました。

部署異動が少なく、人間関係がリセットされない

病院の栄養科は、一般企業と比べて部署異動が少ない職場だと思います。

担当業務が変わることはあっても、同じ栄養科の職員と長期間働き続けることになります。

人間関係がよければ、これは大きなメリットです。お互いの性格や仕事の進め方を理解し、協力しやすくなります。

一方で、人間関係や上下関係に問題があっても、異動によって環境がリセットされる可能性は低いです。

上司や先輩との関係に悩んでも、翌年度には別の部署へ異動できるとは限りません。同じ人間関係が何年も続くことがあります。

さらに、病院管理栄養士の求人は、地域や時期によっては決して多くありません。

病院での臨床業務を続けたいと思うほど、簡単には転職できないことがあります。

そのため、職場環境がつらくても「次の病院が見つからないかもしれない」と考え、踏みとどまる方もいると思います。

環境をすぐに変えられないなら、仕事との距離の取り方や受け止め方など、自分のマインドを少しずつ変えていく必要もあります。

ただし、何でも我慢すればよいという意味ではありません。心身に不調が出ている場合は、休職や転職を含めて、自分を守ることを優先すべきだと思います。

栄養科以外に仲間をつくる

栄養科の人間関係に悩んでいる方には、他部署の職員と交流することをおすすめします。

病院には、医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、臨床検査技師、医療ソーシャルワーカーなど、さまざまな職種が働いています。

カンファレンスや委員会、NSTなどのチーム医療へ積極的に参加すると、栄養科以外にも相談できる人が増えていきます。

他職種から「栄養について相談したい」と声をかけてもらえるようになると、自分が病院のなかで役に立てていることを実感できます。

栄養科のなかで評価されなかったとしても、他職種が仕事を見てくれていることもあります。

部署内の人間関係が職場のすべてになってしまうと、逃げ場がなくなります。

他部署に顔見知りや仲間をつくることは、仕事の幅を広げるだけでなく、自分の心を守ることにもつながります。

長く残ることで状況が変わることもある

あまり大きな声では言えませんが、長く働いていると、自分より先に周囲の人が退職することもあります。

結婚や出産、転居などの生活上の理由で辞める方もいれば、職場環境が合わずに退職する方もいます。

誰かの退職を喜ぶわけではありません。

それでも、人が入れ替わることで、自分の立場や担当業務が変わることはあります。

長く働いてきた経験を認めてもらい、以前から希望していた仕事を任せてもらえることがあります。後輩が増えれば、自分一人で抱えていた業務を分担できるようになることもあります。

後輩を育てる責任は増えますが、自分の考えを理解し、協力してくれる人が増えることで、以前より仕事を進めやすくなる場合もあります。

すぐに転職できないから残るという選択も、必ずしも後ろ向きなものではありません。

残って経験を積むことで、自分に有利な状況へ変わる可能性もあります。

ただし、いつ状況が改善するかわからないまま耐え続けることには限界があります。「あと何年」「この資格を取るまで」など、自分のなかで区切りを決めておくことも必要です。

病院管理栄養士は給料を比べるとつらくなる

病院管理栄養士として働いていて、もう一つ気になるのが給料です。

病院管理栄養士は国家資格が必要で、患者さんの命や治療に関わる責任のある仕事です。専門資格を取得し、勉強を続けても、それが大幅な昇給につながるとは限りません。

大学病院、公的な性格を持つ病院、全国規模の組織など、比較的待遇がよいとされる勤務先もあります。

しかし、ある程度規模の大きい病院であっても、期待していたほど給料が高くない場合があります。基本給や昇給額、資格手当、賞与、退職金などは病院によって大きく異なります。

安定した昇給や待遇を最優先するなら、自治体などで公務員として働く方が条件のよいケースもあると思います。

もちろん、給料だけで仕事を選ぶわけではありません。

自分がやりたい栄養指導や病棟業務に携われること、専門性を高められることも大切です。

それでも、同年代のほかの職種と給料を比べて、むなしくなることがあるのは否定できません。

努力や責任の重さが、必ずしも給料へ反映されない。これは、病院管理栄養士として働くうえで感じる悲しい現実の一つです。

やりたい仕事と続けられる仕事は同じとは限らない

病院管理栄養士は、栄養の知識を患者さんの治療に生かせる仕事です。

一方で、厨房勤務、早番や遅番、人間関係、昇給の少なさなど、実際に働いてから見えてくる問題もあります。

20代の頃には経験として受け入れられた働き方が、結婚や出産、年齢の変化によって難しくなることもあります。

やりたい仕事であることは大切です。

しかし、長く働くためには、勤務時間、体力、家庭との両立、給料、人間関係まで含めて考える必要があります。

直営病院で経験を積んだあと、委託給食の病院や臨床業務を中心にできる職場へ移る。病院以外の分野へ進む。今の職場に残りながら、他職種とのつながりを増やす。

選択肢は一つではありません。

私自身も、病院管理栄養士の仕事を続けたい気持ちと、この働き方をずっと続けられるのかという不安の間で悩んでいます。

職場に合わせて我慢し続けるのではなく、自分が何を大切にしたいのか、どのような働き方なら続けられるのかを考えていきたいと思っています。

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この記事を書いた人

しろ|病院勤務の管理栄養士

大学病院で栄養管理に携わっています。
病態栄養専門管理栄養士/NST専門療法士。

外来栄養指導や入院患者さんの栄養管理を通して、
「続けられる食事」の大切さを日々感じています。

このブログでは、
現場経験をもとに、暮らしに活かせる栄養の知識を発信しています。

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