介護中の食事づくりで、「飲み込みやすく安全な食事」はとても大切です。今回は、ペースト食の作り方をやさしく解説しながら、おすすめのミキサー選びのポイントもご紹介します。咀嚼・嚥下障害がある方の食事づくりにぜひ役立ててください。

■ ペースト食ってなに?
ペースト食とは、食材をなめらかにすりつぶした状態の食事です。柔らかい食事をミキサーに変えてペースト状に加工します。咀嚼(噛む力)や嚥下(飲み込む力)が弱くなってきた方にとって、誤嚥(ごえん)や窒息のリスクを減らし、安全に栄養をとるために欠かせません。
👉 適度なとろみや粘度を加えることで、形状を安定させ、安全に食べられます。
■ ペースト食の基本の作り方
【用意するもの】
- ミキサー(またはブレンダー)
※フードプロセッサーは「ある程度なめらか」にはできますが、ミキサーほど細かく・均一にはなりにくいです。飲み込む力がかなり弱い方、完全なペースト食が必要な方には「ミキサー(またはブレンダー)」が◎ - やわらかいお食事(煮魚、ハンバーグ、ゆで野菜、すりおろし果物、おかゆなど)
- 水分調整用の出汁、スープ、白湯、水など
- トロミ調整食品(市販品)
例:とろみエール、ネオハイトロミ、つるりんこなど - スプーン・かき混ぜ棒・計量スプーンや調理用の量り
- 漉し器(必要に応じて)
【作り方】
- 食材を柔らかく加熱
魚や肉を煮る・蒸すなどして、箸で軽く押せる程度まで柔らかくします。
繊維が少なく、柔らかい食材が適しています。
かまぼこやごまなど口の中でばらけやすい食材は避けましょう。 - 必要に応じてこす
繊維の多い食材は、ざるや漉し器でなめらかに仕上げます。 - ペーストを作る
少量の水分(出汁やスープなど)を加えて、ミキサーやブレンダーでなめらかになるまで撹拌します。
粒が残ると誤嚥の原因になるため、十分に撹拌するのがポイントです。
水分が少ないと粒や繊維が残ってしまったり、うまく撹拌できないことがあります。 - トロミを調整する(後述)
水っぽいペーストは、火にかけて少し水分を飛ばしてからトロミ剤を加えると◎
少しずつ加えてよく混ぜ、目標のとろみ状態を目で確認します。
しっかり混ぜた後、1~2分ほど待つ。
→トロミが安定するまで時間をおきましょう。
■ 例:にんじんペーストのトロミ調整
- やわらかくゆでたにんじんをミキサーにかける
- 出汁を加えてペースト状にする
- トロミ剤を0.5〜1gずつ加えながら混ぜる
- スプーンで持ち上げて「とろっと山ができる」状態に調整
とろみのつけ方(汁物・飲み物)
① 液体を計量する
飲み物や汁物の量を量っておく(目安:100mLごと)
② トロミ剤を計量する
メーカーの推奨量を確認(例:100mLに対し1.5〜2gなど)
③ トロミ剤を少しずつ振り入れる
ダマにならないよう、かき混ぜながら少しずつ入れる
④ よくかき混ぜる(10〜20秒)
しっかり溶かし、全体がとろっとするまで混ぜる
⑤ とろみが安定するまで待つ(1〜2分)
すぐに飲まず、とろみの状態が落ち着くまで待つ
■ ミキサーの選び方ポイント
ペースト食づくりに向いているミキサーを選ぶには、以下の点をチェック!
✅ ポイント① パワー(ワット数)が高め
→固形食材をしっかり滑らかにするには、300W以上あると安心です。
また、品数を多く作る場合は稼働時間が長いものを選びましょう。
✅ ポイント② 耐熱対応
→熱々のスープや加熱した野菜をそのまま入れられると便利。
✅ ポイント③ 容器が洗いやすい・分解できる
→衛生面でも重要です。毎日洗いやすい設計がおすすめ。
✅ ポイント④ コンパクトで収納しやすい
→毎日使う方は出しっぱなしOKなサイズ感だとラク。
少量の食材をペーストにする方はミキサーよりブレンダーの方が使い勝手が良いです。
■ まとめ
ペースト食は、やさしさと工夫が詰まった大切な食事。
おいしく、安全に食べてもらうために、ミキサー選びやトロミの加減など、ちょっとしたコツがポイントです。