高齢になると、「かたいものが食べにくい」「むせやすい」といった食の悩みが出てきます。
そんなときに役立つのが「介護食」です。
でも、ひとくちに介護食といっても、実はいくつかの種類に分かれていて、その人の状態に合った食事を選ぶことが大切です。
今回は、「嚥下調整食分類2021(学会分類2021)」をもとに、介護食の種類をわかりやすくご紹介します!
介護食ってどんな食事?
介護食とは、噛む力(咀嚼力)や飲み込む力(嚥下機能)が弱くなった方のために工夫された食事です。
「かたいお肉が食べづらい…」「水でむせるようになった」
そんな方でも、安全に・楽しく・栄養をとれるように考えられています。
スーパーやドラッグストアでも「やわらか食」「ムース食」など、介護食が手に入るようになりましたが、実際どんな違いがあるのでしょうか?
「嚥下調整食分類2021」ってなに?
介護食の種類をわかりやすくするために、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が2021年に発表したのが
「嚥下調整食分類2021(学会分類2021)」です。
これは、飲み込みやすさに応じて食事を6つのレベルに分けたものです。

✔ 学会分類2021のポイント
コード | 食形態の例 | 特徴 |
---|---|---|
0j | ゼリー状食品 | 口の中でまとまりやすく、のど越しがよい。スプーンで取れるプリン状。たんぱく質含有量は少ない。 |
0t | とろみをつけた飲み物 | 液体にとろみがあり、のどにゆっくり流れて誤嚥を防ぐ。 |
1j | やわらかいゼリー、ムース状 | 舌でつぶせる弾力のある食品で、均一なやわらかさとまとまりがある。 |
2 | 煮たかぼちゃ、豆腐など | 歯ぐきでつぶせるやわらかさで、バラけにくく、口の中でまとまりやすい。 |
3 | やわらか白身魚、煮た根菜など | 舌でつぶせるかたさで、形はあるが口の中で崩れやすい。 |
4 | 成形ミキサー食など | 噛まずに飲み込めるが、ある程度形があり、自然に崩れて飲みやすい。 |
※コード0台は嚥下訓練用の目的が強く、日常の食事ではコード1〜4が中心になります。
よく使われる介護食の種類と特徴
ここでは、実際によく使われる介護食の例を、「やわらかさのレベル」ごとに紹介します。
🔹 ムース食(コード1〜2相当)
ムース状に成形された見た目もきれいな食事。
歯ぐきや舌でつぶせるやわらかさで、見た目が普通の料理に近いのが魅力です。
→ こんな方に:歯がなくても食べられる方、むせやすい方
🔹 かまなくてよい食(コード2)
介護食品メーカーが多く出している「ユニバーサルデザインフードの区分4:かまなくてよい」食事。
やわらかくて自然にほどける食感で、飲み込みやすさとおいしさを両立しています。
→ こんな方に:舌でつぶせるけれど、かむ力が弱い方
🔹 やわらか食(コード3)
歯ぐきでもつぶせるレベルのやわらかさ。
ハンバーグや煮魚など、見た目もほぼ普通食で、満足感があります。
→ こんな方に:かむ力はあるけれど硬いものは苦手な方
🔹 一口大食・刻み食(コード4に準ずる)
一口大にカットした食事や細かく刻んだ食事。また、野菜の皮や繊維を取り除いたやわらかい食事。
刻んだだけでは食べやすくなるとは限らないので注意!
→ とろみをつけたり、あんかけにするなど工夫が必要です。
とろみをつけるのも大事な工夫
食事の内容だけでなく、飲み物や汁物に「とろみ」をつけることも大切です。
とろみをつけることで、飲み物が気道に入りにくくなり、むせを防げます。
市販の「とろみ剤」を使えば、簡単に飲み物にとろみをつけられます。
介護食と合わせて、安全に食事を楽しむ工夫をしていきましょう。
まとめ:介護食は“その人に合ったやわらかさ”が大切!
介護食は、見た目や味だけでなく、「飲み込みやすさ」に合わせて選ぶことがとても大切です。
「うちの家族にはどのレベルの食事が合っているんだろう?」
迷ったときは、医師や管理栄養士、言語聴覚士など専門家に相談するのが安心です。
食べることは、元気の源であり、人生の楽しみのひとつ。
その人らしく、おいしく、安全に食べられるよう、介護食の種類を正しく選んでいきましょう!