食べて元気!高齢者のフレイル予防に役立つ食事の工夫


「最近、体力が落ちた気がする…」それ、もしかすると“フレイル”かも?
年齢を重ねると、「疲れやすい」「足腰が弱くなった」「なんとなく元気が出ない」と感じることが増えてきます。
そのような状態が続くと、フレイル(虚弱)と呼ばれる健康と要介護の間の状態に進行する可能性があります。

フレイルは放置すると、転倒・寝たきり・認知機能の低下などのリスクが高まります。
しかし、早い段階での食事と運動による対策で、元の元気な状態に戻ることも可能です!

今回は、高齢者のフレイル予防に役立つ食事の工夫について、具体的にご紹介します。


目次

フレイルを理解しよう

フレイルとは? ― 高齢者に多い“虚弱状態”

「フレイル(frailty)」とは、加齢により筋肉や心身の機能が衰えた状態のこと。
以下のような変化が目安になります。

  • 体重の減少(半年で2〜3kg以上の減少)
  • 歩くスピードが遅くなる
  • 疲れやすくなる
  • 活動量が減る
  • 筋力(握力など)の低下

心身だけでなく、栄養不足や社会的な孤立もフレイルの原因になります。


フレイル予防のカギは「たんぱく質+エネルギー」

筋肉や体力を維持するには、何よりもたんぱく質エネルギーをしっかり摂ることが大切です。

▶ 高齢者に必要なたんぱく質量(目安)

1日に 体重(kg)×1.0〜1.2(g)
(例:体重50kgの人 → 50〜60gのたんぱく質)

食が細くなりがちな高齢者では、意識しないとすぐに不足してしまいます。
かといってとりすぎには注意。特に腎臓が悪い方は負担がかかります。
(体重×1.4g以上は過剰摂取の危険性が高まります。)


高齢者でも食べやすい!たんぱく質のとれる食品と工夫

✅ 食べやすく栄養価の高い食材

  • 卵(ゆで卵、卵焼き、茶碗蒸し)
  • 豆腐(冷奴、麻婆豆腐、白和え)
  • 魚(煮魚、やわらかい焼き魚)
  • 鶏ひき肉(そぼろ、つくね)
  • ヨーグルト、牛乳、チーズ

✅ 調理の工夫

  • やわらかく煮る・蒸す
  • とろみをつけたりあんかけをかけたりして飲み込みやすくする
  • 食材を切って一口サイズで食べられるようにする
  • 少量で高カロリーなメニューにする(例:卵入り味噌汁、牛乳入りポタージュ)

食欲がないときの対策と便利な市販品

高齢者は「お腹がすかない」「味がわからない」などで、食が進まないことも。そんなときは…

  • 間食で補う(プリン、チーズ、ヨーグルト、牛乳や豆乳など)
  • 1日3食ではなく、4〜5回に分けて食べる(3食+10時や15時の補食)
  • たんぱく質補給の栄養補助食品(ゼリー、ドリンク)を活用する
  • 家族が一緒に食べて、安心感と楽しさを演出する

1日分の高たんぱく献立例(やわらか食対応)

食事献立例
朝食ご飯+ツナ入り卵焼き+豆乳スープ+ヨーグルト
昼食鶏そぼろ丼+やわらか野菜の味噌汁+バナナ
夕食ご飯+豆腐の味噌汁+鮭のムニエル+かぼちゃの煮物

どれも噛みやすく・飲み込みやすく・栄養がしっかり摂れるよう工夫されたメニューです。


調理が難しいときは「宅配介護食」も検討を

食事の準備が大変なときは、宅配の介護食弁当もフレイル予防に役立ちます。

  • やわらか食、高たんぱく食、減塩食など種類が豊富
  • 管理栄養士監修で栄養バランスがとれている
  • 調理不要で家族の負担も軽減

地元の配食サービスや、民間の宅配弁当を上手に取り入れてみましょう。


【まとめ】食事の工夫で、フレイルは予防できる!

フレイルは早めの対策が何よりも大切です。
「もう歳だから…」とあきらめず、毎日の食事を少し見直すだけで、体力や元気を取り戻すことができます。

✅ たんぱく質を意識してとる
✅ 食べやすさを工夫する
✅ 栄養補助や配食も活用する

これらの積み重ねが、未来の健康につながります。
「食べて元気に年を重ねる」ことを、今日からはじめてみませんか?

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この記事を書いた人

病院で働く管理栄養士しろです。
このブログでは、
✅ 栄養の基本知識
✅ 毎日の食事に役立つヒント
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などを、わかりやすくお届けしていきます。
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