減塩中でも外食していい?管理栄養士が教える外食時の考え方と選び方

「減塩中は外食をしない方がいいですよね?」
外来や栄養指導の場で、よく聞かれる質問です。

減塩と聞くと、
・外食はすべてNG
・家での食事しか選べない
と考えてしまう方も少なくありません。

しかし実際には、減塩中でも外食を完全に避ける必要はありません。
大切なのは、「外食をしないこと」ではなく、
外食との付き合い方を知ることです。

この記事では、
大学病院で管理栄養士として栄養指導を行ってきた経験をもとに、
減塩中でも無理なく続けられる外食時の考え方をお伝えします。


目次

外来でよくある誤解|減塩=外食禁止ではない

栄養指導をしていると、
「外食は全部やめています」
「付き合いがあっても我慢しています」
という方に出会うことがあります。

一見、意識が高くて良さそうに見えますが、
こうした方ほど、
途中で疲れてしまい、反動で食生活が崩れてしまうことも少なくありません。

減塩は、短期間だけ頑張るものではなく、
生活として続けていくことが大切です。
そのため、外食を完全に排除する考え方は、
現実的ではない場合も多いのです。


減塩中の外食は「減点方式」で考える

減塩中の外食では、
「完璧な減塩メニューを探す」よりも、
減点方式で考えるのがおすすめです。

基本の考え方はシンプルです。

  • 塩分が多そうな部分は無理に食べない
  • できるところだけ調整する
  • 前後の食事で帳尻を合わせる

「全部守れなかったからダメ」ではなく、
できたところに目を向けることが、長続きのコツです。


外食ジャンル別|減塩中の選び方のポイント

定食屋・和食店の場合

  • 汁物は一口程度にする、または残す
  • 漬物は基本的に食べない
  • 主菜はOK、副菜で調整する

定食は品数が多く、
取捨選択しやすい外食です。


ラーメン・麺類の場合

  • スープは飲まない
  • トッピングは野菜や卵を選ぶ
  • 「たまに食べるもの」と割り切る

麺類は塩分が多くなりやすいため、
頻度を意識することが大切です。


コンビニを利用する場合

  • 主食+主菜+副菜を意識する
  • カップ麺単品は避ける
  • サラダや果物を組み合わせる

「時間がない日こそ、選び方が重要」
とお伝えしています。


よくある失敗|「外食=チートデイ」と割り切って暴走してしまう

外来でよく聞くのが、
「外食の日はチートデイだと思って、気にせず食べています」
という声です。

確かに、毎回の外食で細かく塩分を気にするのは大変です。
ただ、チートデイと決めた途端、
・ラーメン+スープ完飲
・揚げ物+デザート
と、1食で塩分もエネルギーも大きくオーバーしてしまう方もいます。

減塩がうまくいっている方ほど、
「全部OK」にせず、
できる範囲でブレーキをかける意識を持っています。


実際、1食で塩分10gとるのはどうなの?

「外食で1食くらい塩分が多くても、
血圧や血液検査の数値は悪くないんです。」
という声も、現場ではよく聞かれます。

実際、降圧薬などをきちんと服用している方の中には、
一時的に塩分を多くとっても、
数値に大きな変化が出ない方がいるのも事実です。

ただし、これは
食事の影響が見えにくくなっているだけ
というケースもあります。

長く関わっていると、
「今は問題なくても、数年後に薬が増えた」
という方を見かけることもあります。


たまに多くなる日はあってもいい?管理栄養士の考え方

減塩についてお話ししていると、
「外食で1食だけ塩分が多くなってしまうのは、やっぱりダメですか?」
と聞かれることがあります。

結論から言うと、たまに塩分が多くなる日があること自体は、必ずしも問題ではありません。
食塩摂取量は、1日単位ではなく、数日〜1週間単位の平均で評価されます。

食塩摂取による影響は、
1食ごとにすぐ表れるものではなく、
数日間の積み重ねによって出てくると考えられています。

そのため、外食などで一時的に多くなった場合でも、
前後の食事で調整できていれば、
大きな問題につながらないことも多いです。

ただし、外食のたびに多くなったり、
「仕方ない日」が週に何度も続いたりすると、
減塩しているつもりでも食塩摂取量は下がりません。

減塩は、毎日完璧を目指すことよりも、
全体として塩分量を下げ続けられているかどうかが大切です。


まとめ|減塩は「外食をやめること」ではない

減塩中でも、外食はしても大丈夫です。
大切なのは、

  • 完璧を目指さない
  • 暴走しない
  • 前後で調整する

この3つを意識すること。

外食を完全に我慢するよりも、
上手に付き合いながら続ける方が、結果につながります。

減塩は「我慢の食事」ではなく、
生活として続けられる食事を目指しましょう。

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この記事を書いた人

病院で働く管理栄養士しろです。
*大学病院勤務
*直営で厨房経験あり
*病態栄養専門管理栄養士
*肝疾患病態栄養専門管理栄養士
自分の経験が人の役に立てるといいなと思いブログをはじめました。
よろしくお願いします。

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