塩分を控えないとどうなる?腎臓病と食塩の深い関係を解説

腎臓病と診断されたとき、まず言われるのが「塩分を控えましょう」というアドバイス。
でも、「なぜそんなに塩分がいけないの?」「とりすぎたらどうなるの?」と思ったことはありませんか?

今回は、なぜ腎臓病だと塩分制限が必要なのか、そして体の中で何が起こっているのかを、わかりやすく解説します。


目次

🧂そもそも塩分ってなにをしてるの?

塩分(=ナトリウム)は、体の水分バランスを保ったり、神経や筋肉の働きを助けたりと、大事な役割をしています。

でも、とりすぎると水分を体に引き寄せる性質があるため、腎臓に負担がかかることになります。


🧂どうして塩分をとると水分がたまるの?

私たちの体は、塩分(ナトリウム)と水分のバランスを、いつも一定に保とうとする仕組みになっています。

塩分をとりすぎると、血液の中の塩分の濃さが一時的に高くなります。すると体は、

「このままだと塩分が濃すぎる。水でうすめないと!」

と判断して、体の中に水分をためこもうとします

このとき、のどが渇いたり、腎臓が水を外に出さないように働いたりして、血管の中の水分量が増えていきます

目安として、食塩1gをとると、体内に約100mL(コップ半分くらい)の水分が引き込まれると言われています。

たとえば、ラーメン1杯(塩分6g)をスープまで飲み干すと、ペットボトル1本分=600mLもの水分が体に残ってしまう計算です。

これは血管の中の圧力(=血圧)を上げたり、足のむくみや、心臓や肺への負担にもつながります。



🩺 腎臓病で塩分制限が必要な3つの理由

① 高血圧を悪化させないため

腎臓病の人は、高血圧になりやすい体質です。
塩分が多いと血液の量が増えて血圧が上がり、腎臓の血管にダメージが加わります
これは、腎機能をさらに悪化させる悪循環です。

② むくみや息切れを防ぐため

腎臓の働きが弱まると、体にたまったナトリウムや水分をうまく排出できません。
その結果、足がむくんだり、心臓や肺に水がたまって息苦しくなることがあります(心不全や肺うっ血)。

③ 腎臓の負担を減らすため

塩分が多いと腎臓の血流バランスが崩れ、ろ過機能に無理がかかってしまいます
これが続くと、腎臓病の進行が早まり、将来的に透析が必要になる可能性も。

💡 塩分のとりすぎが、タンパク尿を悪化させる?

健康な人の尿には、ほとんどタンパク質は含まれていません。
ところが腎臓病になると、本来は体にとどめておくべきタンパク質が、尿の中に漏れ出てしまうことがあります。これが「タンパク尿」と呼ばれる状態です。

腎臓には、血液から不要なものをこし取る「フィルター(糸球体)」があります。このフィルターが正常に働いていれば、体に必要なタンパク質は尿に出ることはありません。
ところが、塩分をとりすぎると血圧が上がり、このフィルターに強い圧力がかかってしまいます。その結果、本来出てはいけないタンパク質が尿に漏れ出てしまう=タンパク尿が増えるという悪循環に陥ります。

タンパク尿は、腎臓がダメージを受けているサインであり、放っておくと病気の進行を早めてしまいます。とくに高血圧をともなう腎臓病では、塩分とタンパク尿の関係は非常に密接です。


🧂 塩分制限が、タンパク尿を減らす第一歩

腎臓病の治療では、「塩分制限」がよくすすめられます。それは、単に血圧を下げるためだけではありません。塩分を控えることで腎臓への圧力が下がり、フィルターの傷みを防ぐことができる=タンパク尿の減少にもつながるからです。

実際、医師や管理栄養士の指導のもとで塩分を控えると、尿検査でタンパク尿が減っていく例もあります。
👉つまり、「塩分を控えることは、腎臓の機能を守り、タンパク尿を減らす一番身近な方法」なのです。


🧭 どのくらいの塩分にすればいいの?

慢性腎臓病(CKD)の方は、1日6g未満の塩分制限が推奨されることが多いです(日本腎臓学会ガイドラインより)。
市販のラーメンや惣菜などは、1食で6gを超えてしまうこともあるので注意が必要です。


🌟まとめ|塩分を控える=腎臓を守ること

塩分をとりすぎると、体に水がたまり、血圧が上がり、腎臓にどんどん負担がかかってしまいます。
とくに腎臓病の人にとっては、「塩分を控えること=腎臓の寿命を延ばすこと」です。

体の中では、たった1gの塩分がコップ半分の水分を引き寄せているということを、ぜひ意識してみてください。


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この記事を書いた人

病院で働く管理栄養士しろです。
このブログでは、
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